平面 具体絵画
具体絵画について
1977-81年にかけて制作した「荒れた大地」、「ブルーの色面」、あるいは「ステンレスの金属板」などで構成する断片(モンタージュ)シリーズ以後、私の関心事は「物質」と「行為」と「場所性」へと向かい、空間造形(インスタレーション)の発表と併行して絵画表現の可能性を模索してきました。それは抽象や具象というこれまでの表現の概念とは異なる新しい絵画の方向性を求めるものでした。つまり、絵画を成立させる重要な要素として物質性を重視することで、より直接的な表現とイリュージョンの可能性を探求する作業だったのかもしれません。
そういう表現への欲求から、1989年に岩国市徴古館で発表した「木調への眼差し」という一連の作品を制作しました。その後、絵画における物質性への追求は、木を削り、記号や描かれたドローイングの線、貼り付けられた金属、モルタルなどが錯綜するミクストメディアの作品へと発展してきました。この一連の作品を私は「具体絵画」と名づけています。
このように「具体絵画」はイリュージョンを否定するものではありませんが、描かれたものとは異なる具体的な物質性を絵画の極めて重要な構成要素とする独特な考え方に基づいているのです。
WORK・作品 1996 合板、和紙、鉛筆、新聞、鉄、アクリル樹脂塗料/95×200 cm国際丹南 アートフェスティバル '95 (2)
WORK 作品 1991 合板、水彩紙、木炭 /94✕198 cm (2)
WORK・作品/1993/合板 和紙 鉛筆 新聞 鉄/145.0 cm×185.0cm/丹南アートフェスティバル '93
WORK連関/1994~5/ 合板 和紙 鉛筆 新聞 鉄 アクリル樹脂塗料/150×380 cm(未完) 第48回 山口県美術展覧会
WORK・作品/1993/合板 和紙 鉛筆 新聞 鉄/145.0 cm×185.0cm
WORK作品/1993/合板 和紙 鉛筆 新聞 鉄/145.0 ×185.0 cm/第12回 今立現代美術紙展
WORK作品/1992/合板 和紙 鉛筆 新聞/185×185 cm/第22回 現代日本美術展
WORK壁/2000/合板 新聞 モルタル 鉄 アクリル樹脂塗料ほか/185×380 cm (2)
WORK作品/1993/合板 和紙 鉛筆 新聞 鉄/145.0×185.0 cm/第12回 今立現代美術紙展[いまだて芸術館]
WORK作品/1992/合板 和紙 鉛筆 新聞/230×400 cm/第46回山口県美展
WORK 作品(拡大部分)
平面 変容と生成
WORK作品 1991 合板、オイル / 130.0 ×185.0 cm 第2回 TAMON賞展 個展[ギャラリー ラ・セーヌ] ドローイングインスタレーション2018
WORK作品/1991/TAMON賞展/拡大部分
WORK (yellow)/1990/木材(杉) ウレタン樹脂塗料/96×136 cm
WORK作品/1990/182×188cm/合板 オイル
具体絵画の断面Ⅳ展2010/画廊DOOR
WORK作品/1991/182×188cm/合板 オイル
WORK 作品/1991/182×188cm/合板 オイル/拡大部分
WORK作品/182×200cm/1991/木材(杉) オイル/第1回TAMON賞展
WORK作品/1989/木材(米栂集成材) オイル/91.0×77.0×2.0 cm
WORK89-1-2/1989/ 木材(米栂集成材) オイル/182×550×2 cm/原田文明の現況2021展
WORK・作品 1989 木材(米栂集成材)、オイル / 182 cm×500 cm×30 cm 第18回 日本国際美術展 (2)
平面 シュールから断片構成
断片シリーズについて
私の作品に於いて一つの要素となっている青・原野・壁等々について具体性はない。それらは極めて個的な観念の断片として、比較的アカデミックなマチエール(素材)ででっち上げられたものにすぎない。精神的所産という美名のもとに制作され、かつて否定された欺瞞した化物である。しかし、私はマチエール(素材)を一つの物質としてみている。平面的次元に於ける断片的構成の域において、行為自体がマチエールや観念的要素と等価に提示されている側面を持っている。
このように私の作品が行為性を含む断片的な三重構造により成り立ち、単に個的なレベルに於ける観念の対象化でないことは今回の発表で明白になるだろう。そしてその構成的要素は行為とものの関係性において今もなお私の仕事の主流となって展開されている。
輪転/1976/キャンバス 油絵の具/181.8×227.3 cm/第37回美術文化展 美術文化賞
化石の告白/1976/キャンバス 油絵の具/130.3×193.9 cm/第37回美術文化展
Untitled 無題/1977/ キャンバス 油絵の具/ 181.8×227.3 cm/第12回日本国際美術展 佳作賞 東京都現代美術館 所蔵
Untitled 無題/1977/ キャンバス 油絵の具/ 181.8×227.3 cm/第12回日本国際美術展 佳作賞 東京都現代美術館 所蔵
Untitled 無題/1977/キャンバス 油絵の具/130.3×162.1 cm/第38回美術文化展
Untitled 無題/1979/キャンバス 油絵の具/130.3×162.1 cm
Untitled 無題/1978/キャンバス 油絵の具/130.3 ×162.1 cm/リアリズムの分岐(4人)展[東京、真木画廊
Untitled 無題/1978/合板 ステンレス 油絵の具/ 120.0×165.0 cm/第14回現代日本美術展
untitled 無題/1980/キャンバス 油絵具/15.8×22.7cm/作家蔵
untitled 無題/1980/oil canvas/53.0×65.2 cm/濱屋知司氏所蔵
Untitled 無題/1980/キャンバス 油絵の具/181.8 ×227.3 cm/山口県美展
Untitled 無題/1980/oil canvas/45.5×53.0 cm/作家蔵
立体 交差する時間と空間
路地プロジェクト周東/2010/古着 ワイヤーメッシュ イルミネーション/200×80×500cm/周東町パストラルホール
流れ/2003/錦川の石、錦帯橋の橋板(第4橋段板)/アートムーブ2003〈岩国〉“表現の成り立ち”②
流れ/2003/錦川の石、錦帯橋の橋板(第4橋段板)/アートムーブ2003〈岩国〉“表現の成り立ち”①
路地プロジェクトから/国民文化祭2006やまぐち 宇部彫刻展参加
Reproduction再生/2009/旧柿木村中学校教室 学童机と椅子 ランプ/エコビレッジかきのきむら[路地プロジェクト里山]
アートドキュメント2004錦帯橋プロジェクト参加作品「祈りプロジェクト」①
アートドキュメント2004錦帯橋プロジェクト参加作品「祈りプロジェクト」
流れ 2002/国安邸(江戸時代の商家・松金屋油) 石 鉄 廃材(解体された梁材) 電球ほか/第1回アートフェスタ岩国招待
路地プロジェクト里山/2009/ワイヤーメッシュ 古着 イルミネーション[草の庭]
流れの形状/2002/国安邸(江戸時代の商家・松金屋油) 石 鉄 廃材(解体された梁材)ほか
流れ/2001/国安邸(江戸時代の商家・松金屋油) 石 鉄 廃材(解体された梁材)ほか
立体 変容と生成
COUPLING/1994/コールテン鋼、御影石(秋穂産)①
COUPLING/1994/コールテン鋼、御影石(秋穂産)③
COUPLING/1994/コールテン鋼、御影石(秋穂産)④
COUPLI
Wall of the bamboo 2010 150×200×500 cm/周東町パストラルホール (2)
COUPLING・竹④/1993/木製ガラス戸(廃品)、竹/210.0 cm×230.0 cm
錦帯橋プロジェクト残像/2004/錦川の石、祈りプロジェクトの炎で曲がったワイヤーメッシュ/100✕200✕100cm/画廊a
Wall of the bamboo / 2010 / 岩国の竹 / 1
赤い扉②/1998/鉄、ウレタン樹脂塗料/広島パークビルディング
RELATION(Stone & Stones)/2012/ビニール 石
赤い扉①/1998/鉄、ウレタン樹脂塗料/広島パークビルディング
COUPLING 竹① 1993 鉄、竹 / 190.0 cm✕190.0✕240.0cm/岩国ヒューマンフェスティバル/中通り商店街
立体 存在と場面
無題⑤ 1980 鉄、ガラス、ステンレス、電球、木炭 真木画廊
Iron and 10stones/2010/200×600×30/鉄 10個の川石/周東町パストラルホール
無題④ 1980 鉄、ガラス、ステンレス、電球、木炭 真木画廊
Light and Stones/2010/ iron、電球/200×200×25 cm/周東パストラルホール
無題⑥ 1980 鉄、ガラス、ステンレス、電球、木炭 個展「FROM THE NOTHING」[東京、真木画廊]
矛盾律②/ 1983/角材、鉄、ロープ/岩国市福祉会館
WORK ・ 場面②/1990/なまし番線、壁面 /270 cm×2,000 cm/フリーアートミーティング90展愛媛県立美術館
矛盾律/1983/角材、鉄、ガラス①/山口の現代美術/山口県立美術館
WORK ・ 場面/1988/コンクリート板、ガラス /180 cm×180 cm×20 cm/ポリクロスアート展[高知、高知県立郷土文化会館]
矛盾律①/ 1983/角材、鉄、ガラス、電球、ステンレス/第 9回個展[岩国市福祉会館]
場面89-01/1989/ステンレス/500 x 500 x 20 cm/汎瀬戸内現代美術展岡山県総合文化センター
傾斜の領域と空間/2012/廃物自動ドア 木材/300×250×100cm/現況2012展
ドローイングインスタレーション
ドローイングインスタレーションは、ここ10数年にわたって絵画表現の可能性について考えてきた一連の仕事の中で、偶然とも必然ともいえる結果として発見されたものです。
私はこれまで「具体絵画」と称して、物質(素材)が表現目的の手段として扱われるのではなく、物質のあり方それ自体を色彩やフォルムと等しく絵画の重要な構成要素とする一連の作品を制作してきました。ここでは行為と物質がもたらす一回性の出来事さえも絵画を成立させる重要な要素として捉え、作為的な感性によって空間へと展開されています。
いうまでもなく、そのことによって生成される新しい意味と存在の可能性をリアルな知覚的世界として位置づけ、形而上学的な意味を問いかける主知的な営為と考えてきたのです。さらに、その表現形式のあり方は平面的な二次元の世界から室内空間(場所)を構成する三次元的な世界へとその機能性を拡張し、ドローイングインスタレーションともいうべき様式へと変容させ意識化されてきたとも云えます。
私にとってもはや絵画は多元的な空間へと自在に移ろうイリュージョンの世界へと変容してきたと云うべきかもしれません。それは身体として、あるいは存在として、覚知されるべき対象として見えかくれするもの。換言すれば、世界を包み込む現存(リアルな世界)への希求の現われというべきかも知れないのです。